株式下落リスクを「プットオプション」で保険

シンプルですが、効果的な方法が、株式市場の下落リスクを「プットオプション」によってカバーするという方法です。リーマンショックのような株式相場の大混乱による大ダメージを保険するためにプットオプションの買いを使用する方法となります。

暴落リスクに備えるプットオプションの買い

プットオプションは売る権利です。プットオプションを買うという場合、株価が一定価格以下の価格になった場合、権利行使することで行使価格と決済価格との差額を受け取ることができます。
この仕組みを利用することでまさに、株価下落リスクの保険として運用することが可能です。

たとえば、リーマンショックのように株式市場で10%を超えるような大幅な暴落が起こったとしましょう。
このとき、保有している株式は多くの場合で損失を抱えることになるはずです。しかしながら、プットオプションを買っておけば、一定以下の価格になった時に、プットオプションを行使することができ、その損失に備えることが可能です。

例)個別株式として500万円分の株式を保有しています。
現在の日経平均株価は9000円とします。

株式市場に大ショックが発生!株式市場は20%の値下がりをみせました!

上記のようなケースを想定してみます。

普通にそのまま適用すると、個別株式も20%の値下がりで、100万円の損失が発生することになります。

ここで事前にプットオプションを買っていたとします。
仮に、行使価格8000円の日経225オプションを1枚プレミアム2円で買っていたとします。この場合必要となるオプション料は2円×1枚×1000(単位)=2000円となります。

この場合、暴落によって日経平均株価は7200円にまで下落しています。すると権利行使価格との差である「8000円-7200円=800円。1枚買っているためその1000倍である80万円を受け取ることができます

このプットオプションの買いによって投資家は本来なら100万円発生するはずの損失のうち80万円をプットオプションによってカバーすることができたわけです。

 

原則は普通は起こらない水準のプットを買うこと

このプットオプションを使った保険の場合、今回のケースのように日経平均が9000円の時に8000円のプットを買うといったように、現在の原資産からある程度離れたオプションを買うようにします。
金額が近いオプションは成立する可能性があるため、プレミアムの時間的価値が評価されやすいためプレミアムは高くなりがちです。

保険として使用するという観点からはある程度プレミアムが安くないと、コスト的に問題がでてきます。

 

購入するプットの限月

検討材料の一つは「購入する限月」です。決済期限が先のオプションほど「時間的価値」がたくさんあるわけですからプレミアムも高くなります。
たとえば、仮に今日(2012年10月30日)のオプション相場をみると、11月限月の8000円のコールオプションのプレミアムは4円ですが、12月限月なら25円、翌1月限月なら46円という値段になってしまいます。

あくまでも不確定な事実に対する備えとしてプットを買うのであれば、期限の短いプットを購入する方が支払う保険料は安くて済む場合が多いです。

 

こうした取引を「ヘッジ取引」という

このような取引方法はヘッジ取引とよばれ、投資信託やヘッジファンドのような大きな資金を運用する会社では実際に実施しています。万が一の場合に資産がゼロになるなんてことは許されないためです。

実際のオプション取引市場を見ても、かなり低い権利行使価格でのプットオプションが実際に売買されています。こうした売買の多くは本当にその金額が実現するという意思を持ったトレードではなく、多くの場合は万が一そうなってしまった場合の「保険」としてそうしたオプションを買っているわけです。

一方、そうした価格帯のオプションを売っている投資家もいるわけです。

 

小さな値下がりや今後の値下がりを予想している場合

まず、小さな値下がりに対してプットオプションで保険をかけるのは前述もしておりますが、プレミアム(オプション料)の観点からも得策ではありません。支払うための保険料(プレミアム)が高すぎて保険としての意味合いは薄れてしまいます(相場の下落にかけているだけということになります)

同様に、今後の株価の値下がりを投資判断として持たれている場合もこの戦略はお勧めできません。それならば、保有している現物株を売ってしまった方がずっと良いです。
どうして売れない現物株の場合は「カバードコール戦略」が有効かもしれません。

あくまでも、通常だったら起こらないだろうけど、万が一の場合の保険を付けておきたいという場合に有効となる戦略です。

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